「やること」を増やすより、「やらないこと」を決めるほうが、毎日は驚くほど整います。本記事では、やらないことリスト(Not ToDoリスト)の作り方と具体例を紹介。時間・心・お金の3軸からムダを見直し、少ない行動で満足度を高めるヒントを解説します。暮らしを軽く整えたい方におすすめの実践ガイドです。
やらないことリスト(Not ToDoリスト)とは?
限られた時間と集中力を、より大切なことに使うための考え方です。
やらないことリストは、ToDoリストの“反対”ではなく、本当にやるべきことを浮かび上がらせるための整理法です。ここでは、その目的と効果、そしてToDoリストとの違いを見ていきましょう。
やらないことリストを決める理由
「やらないこと」を決めるのは、自分の時間を守る行為です。
スマホ通知、他人の期待、なんとなく続けている習慣。
気づかないうちに、エネルギーは小さな“やること”に奪われていることがあります。
やらないことリストは、日々の選択を軽くし、意思決定の疲れを減らすツール。
最近はミニマリズムや時間管理術でも、「何を増やすか」より「何を減らすか」が毎日の心地よさにつながると注目されている考え方です。
小さな「やめる」を積み重ねることで、時間に余裕が生まれ、新しい習慣や自分にとって大切なことに集中しやすくなります。
ToDoリストとの違いと、うまくいかない原因
ToDoリストは「やること」を積み上げる仕組み、やらないことリストは「やらない」と決めて思考や行動のノイズを減らす仕組みです。
どちらも目的は同じですが、ToDoだけでは“足し算思考”に偏りやすいのが難点。
やるべきことを増やしすぎると、リストがストレスの原因になることもあります。
このバランスを取るために、ToDoとNot ToDoをセットで運用するのが理想的です。
(関連:朝に整理するToDoリストの作り方|1日のスタートを軽くする習慣)
「やめる」ことで得られる3つの効果
やらないことを決めると、自分の時間と心にゆとりが戻ってくるようになります。
「やること」を減らすことで得られる3つの効果を見てみましょう。
- 1. 集中力が高まる
やらないことを明確にすると、目の前の仕事や目標に意識を向けやすくなります。迷いが減り、行動のスピードも上がります。 - 2. 心の余裕が生まれる
不要な人間関係や情報との距離が取れ、心が軽くなります。自分のペースを取り戻し、穏やかに過ごす時間が増えます。 - 3. 本当にやりたいことに集中できる
「やめた分の時間」を、好きなことや成長につながることに使えるようになります。やることより“選ぶこと”を大切にできるようになります。
やめることは、諦めることではありません。
それは、自分にとって本当に大切なものを選び取る力を育てる習慣です。
忙しさの中でも、心地よく働き、暮らすための第一歩になります。
初心者もできる!やらないことリストの作り方3ステップ
やらないことリストの作り方は、むずかしく考えなくて大丈夫です。
ここでは、初めてでも無理なく続けられる3つのステップを紹介します。
ステップ1:1週間を振り返り、“疲れた行動”を書き出す
まずは、1週間を思い出してみてください。
「終わったあとに疲れを感じたこと」「気持ちがモヤモヤしたこと」を書き出します。このとき、漠然と考えるよりもテーマごとに問いを立てると整理しやすくなります。
下のようなカテゴリをヒントに、思い当たる行動をいくつか書き出してみましょう。
| カテゴリ | 振り返りの問いかけ | 具体例 |
|---|---|---|
| 生産性 | 無駄に時間を使った、集中できなかった行動は? | 仕事後の疲れでダラダラスマホを見て夜更かしした |
| 心の余裕 | 人付き合い・情報などで気疲れしたことは? | 相手に合わせすぎて、自分の予定を後回しにした |
| 健康 | 体を休める時間を削ってまでやったことは? | 睡眠時間を削ってまで作業を続けて体調を崩した |
| 習慣 | やめたいと思いながら続けている癖は? | つい完璧を求めてやり直す、先延ばしする |
| 環境 | 気づかないうちに心身を消耗させている環境は? | 散らかったデスク、通知音の多さ |
やらないことリストは、“やりたくないこと”ではなく“自分を消耗させること”を見つける作業です。
「減らすと心地よくなる行動」を見つけることが第一歩です。
ステップ2:書き出した中から“やめたい候補”を3個選ぶ
書き出したメモを見返して、やめたい行動を3個だけ選びます。
ここでのコツは、「理想的に見える行動」よりも、「少し無理していること」に注目することです。
たとえば、
- SNSやスマホを開く回数を減らす
- なんでも自分で完璧にこなそうとしない
- 予定を詰めすぎない
など、小さな一歩で構いません。
リストは“完璧さ”よりも“続けやすさ”を意識すると長く続きます。
ステップ3:チェック欄をつけて、できた日を記録する
やらないことリストは、書いたあとが大切です。
リストの横に小さなチェック欄を作り、「できた日」を記録するようにしましょう。
たとえば、
完璧でなくて大丈夫です。
1日、1つでも守れたら、すでに前進です。
目に見える形で残すことで、小さな成功体験を積み上げやすくなります。

やらないことリストの具体例10選
頑張りすぎる毎日を少し緩めるには、「やらないこと」を決めるのが効果的です。
ここでは、暮らしや仕事を軽くするために手放したい10のことを、時間・心・お金の3つの視点で紹介します。
どれも小さな見直しから始められる“やめる習慣”です。
目的のないままスマホを長時間見るのをやめる
なんとなく触っているうちに、気づけば時間が過ぎてしまいます。
意識してスマホを置く時間をつくると、思考もゆっくり整理されていきます。
休息が必要なのに頑張ってしまうのをやめる
疲れているのに動き続けると、心も体もすり減ります。
休むことも大切な“行動のひとつ”として受け入れてみましょう。
マルチタスクで作業効率を下げてしまうのをやめる
同時に進めるほど、どれも中途半端になりがちです。
一つずつ丁寧に終わらせることで、集中力も満足感も戻ってきます。
完璧に仕上げようとするのをやめる
細部にこだわりすぎると、いつまでも終わらない感覚に陥ります。
「8割でOK」と区切ることで、心の余白と時間のゆとりが生まれます。
気が進まない誘いや集まりへの参加をやめる
断ることに罪悪感を持つ必要はありません。
本当に行きたい場所・人との時間を大切にするほうが、心は満たされます。
他人の評価や期待に応えようとしすぎるのをやめる
誰かの基準で動き続けると、自分の感情が見えにくくなります。
「どう思われるか」より「どう感じたいか」を軸に選びましょう。
苦手な人に合わせすぎるのをやめる
無理して笑顔を作る時間は、思っている以上にエネルギーを奪います。
必要な距離を取ることも、心を守る大切なスキルです。
不安な未来を繰り返し考えるのをやめる
考えても答えが出ないことに、心を使いすぎないようにしましょう。
「今できること」に意識を戻すだけで、安心感が少しずつ戻ってきます。
見栄のための買い物をやめる
誰かに良く見せるための出費は、後から後悔を残します。
“ときめくかどうか”で選ぶと、お金も心も整理されていきます。
使っていない定額サービスを解約する
「いつか使うかも」で放置すると、知らないうちにお金が流れます。
契約を見直すだけで、思った以上に気持ちも軽くなります。
やらないことリストを続けるコツ
「やらないことリスト」は、書いた瞬間がゴールではありません。
日々の変化に合わせて更新しながら使うことで、自分に合った“手放し方”が見えてきます。
続けるコツは、完璧を求めず、できた部分を丁寧に拾うこと。
失敗してもリセットできる柔らかさを持つことで、習慣は少しずつ定着していきます。
ここでは、やらないことリストを日常に根づかせるための3つのヒントを紹介します。
週1回の見直しで、今の自分に合う形に更新
やらないことリストは、書きっぱなしにすると意味を失いやすくなります。
週に一度、5分だけ見返して「今の自分に合っているか」を確かめましょう。
ライフスタイルや気分の変化に合わせて1つ入れ替えるだけでも、続けやすさが変わります。
失敗してもOK!リストを重荷にしないコツ
できなかった日があっても、気にしすぎないことが大切です。
リストは「縛る」ものではなく、自分を整えるための目印。
見返したときに、少しでも軽くなれた実感があれば十分です。
「やらない」と「やる」を連動させて行動の質を上げる
やらないことを決めるだけでなく、代わりに「やること」もセットで考えましょう。
たとえば「夜にスマホを見ない」なら「お気に入りの音楽を聴いて眠る」。
置き換える行動があることで、リストが続けやすくなります。
まとめ|“やめる”から始まる、自分らしい時間の取り戻し方
やらないことリストは、何かを手放すたびに、自分らしさを取り戻す小さなきっかけになります。
完璧に続ける必要はなく、少しずつ整えていく過程そのものが「心の余白」をつくります。
今日も一つ、“やらない”を決めるだけで、1日の流れは少し変わります。
大切なのは、無理なく続けられる形で、自分のペースを守ることです。
朝の時間を心地よく使いたい人は、「朝のジャーナリングテンプレートまとめ|忙しい人向けのスキマ時間&ゆったり時間での書き方」の記事もおすすめです。
考えを整える習慣として組み合わせると、「やらないことリスト」の効果がより実感しやすくなります。
Q&A
やらないことリスト(Not ToDoリスト)は、「やること」ではなく「やめること」を明確にするリストです。やらないことを決めることで、時間や気力の浪費を防ぎ、本当に大切なことに集中できるようになります。シンプルな暮らしを目指す人にも効果的です。
まずは1週間を振り返り、「疲れた」「やりたくなかった」と感じた行動を書き出します。その中から“やめたいこと”を3つほど選び、紙やメモアプリにまとめましょう。できた日はチェックをつけることで、自然と行動の見直しが習慣化します。
完璧を求めず「できた日を認める」ことが大切です。無理に全部やめようとせず、週に1回見直して今の自分に合った形に更新しましょう。リストを負担にせず、気持ちを整えるサポートツールとして使うのがおすすめです。
